ロシア美術の殿堂、モスクワのトレチャコフ美術館が誇る19世紀後半から20世紀初頭のロシア・リアリズムの絵画展となります。 レーピン、スリコフ、レヴィタン、クラムスコイなどロシアが誇る「移動派」の巨匠による代表的作品、75作品を出品。
モスクワの国立トレチャコフ美術館はロシア美術の宝庫であり、12世紀の貴重なイコンから現代に至る約10万点の作品を所蔵しています。そのコレクションは、19世紀のロシアの実業家、パーヴェル・ミハイロヴィチ・トレチャコフが約40年に渡って収集した作品が基礎となっています。
実業家トレチャコフはロシアの芸術家を育成し、ロシア美術の美術館創設のために、1892年にそのコレクションをモスクワ市に寄贈しました。ロシア革命後、この美術館はレーニンによって国に移管され、その後もその後もロシア美術の収集を続け、今日に至っています。
その膨大なコレクションの中でも、ロシア美術史上重要な地位を占める19世紀後半から20世紀初頭にかけての作品は、創始者であるトレチャコフ自らが収集した同時代の作家の傑作が揃っています。ロマノフ王朝が爛熟期を迎えた1850年代から60年代にかけて、若い世代の芸術家たちは、旧体制のアカデミーに反発し、芸術の力で社会の変革をはかろうと、民主的、人道的な立場から、現実の生活や自然を描くことで、当時のロシア社会を批判しました。1870年には、アカデミーを脱退した画家たちが「移動展協会」を結成、民衆に主張を広めるためにロシア各都市で展覧会を開き、「移動派」と呼ばれるようになりました。レーピン、スリコフ、レヴィタンなど移動派の画家たちは、民衆や農民の生活を描き、社会批判と同時に、ロシアの人々の尊厳や強靭な精神性を讃えています。また、露土戦争によってナショナリズムが高まり、祖国ロシアの歴史や美しく壮大な自然を詩情豊かに描きあげました。「移動派」はその後ロシア美術界で指導的な役割を果たし、20世紀ロシア・アヴァンギャルドの土壌を育み、自然との調和、愛情といった永遠のテーマを題材に社会へ働きかけ、帝政末期のロシア社会にも大きな貢献をしたと言えます。
ロシア革命以前までの時代、リアリズムから印象派に至るロシア近代美術を辿る、本邦初公開の作品を含み、日本で始めての試みとなっています。
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[会期・会場]
2009年4月4日~6月7日
Bunkamuraザ・ミュージアム
主催:Bunkamura、毎日新聞社
2009年6月13日~7月21日
岩手県立美術館
2009年7月28日~10月11日
広島県立美術館
2009年10月24日~12月13日
郡山市立美術館
[全会場共通]
後援:ロシア連邦大使館、
ロシア国際文化科学協力センター
企画協力:株式会社アートインプレッション
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