クロード・モネが有名な「印象、日の出」を描いた年、フランスの製磁会社アビランドはパリのオートゥイユに工場を開設しました。印象派の画家フェリックス・ブラックモンが中心となって印象派スタイルの陶磁器製作が始まりました。ブラックモンは花鳥画の浮世絵をモチーフにした版画作品を見てもわかるように、日本美術の影響を受けた最初の西欧芸術家と言われ、1867年のパリ万国博覧会で出品されたテーブル用食器セット《ルソー》シリーズは日本風陶磁器の流行のきっかけとなりました。1881年には陶芸家のエルネスト・シャプレがアトリエ主任に任命され、革新的なストーンウェアの花器を開発し、1885年には硬質磁器に中国で言う釉裏紅の技術を成功させます。北斎や広重等の日本風図柄を応用した絵付けを施すジャポニスムの受容から、日本の釉薬や生地といった素材が注目され、東洋の釉薬の技術はヨーロッパの陶芸に影響を与えました。アビランド社が陶磁器の伝統的な技法や様式を打ち破り、バルビゾン派の風景画や日本美術、同時代の印象派の絵画を手本として新しい色彩やテクスチャーの探求したことで、フランスの陶芸に大きな革新をもたらしたのです。
印象派が100年を迎えた1974年に、アビランド家による「印象派の陶磁器」展が開催されました。この時以来、「印象派の陶磁器」というネーミングはアビランド社製の陶磁器を示す言葉として認識されており、ヨーロッパ陶磁におけるひとつの画期的な出来事として位置付けられています。本展は2010年にフランスのルーアンで催された「印象派のノルマンディー」文化イベントの一環としてルーアン陶磁器美術館で開催された展覧会をもとに再構成されたものです。この度、アビランド家のご遺族のご協力を得て、本展覧会をフランス国外でも開催する運びとなりました。アビランド社の由緒あるコレクションから、陶芸器作品約160点と関連する版画作品やドローイング作品約30点を出品し、絵画の印象派と時を同じくして発展を遂げた陶磁器の創造の時代をご紹介します。
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[会期・会場]
2013年3月9日~6月9日
滋賀県陶芸の森 陶芸館
主催:滋賀県立陶芸の森、京都新聞社
2013年10月8日~11月24日
山口県立萩美術館・浦上記念館
主催: 山口県立萩美術館・浦上記念館、
読売新聞西部本社、KRY山口放送
2013年12月20日~2014年2月2日
岡山県立美術館
主催:岡山県立美術館
2014年4月5日~6月22日
パナソニック 汐留ミュージアム
主催:パナソニック汐留ミュージアム、
朝日新聞社
2014年7月5日~8月24日
岐阜県現代陶芸美術館
主催:岐阜県現代陶芸美術館
共催:中日新聞社
[全会場共通]
後援: 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協力: エールフランス航空
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